顔を綻ばせ抱きしめる

「離婚届ってなあに?」む、小学生へ入りたての愛娘が問うてくる。純粋無垢な視線で。「それはだね……」何と伝えるべきか。

心を穢す事は嫌だ。悲しみ濁る目も見ずに済ませればベストだが、最良の言葉見つからん。誰がうちの愛娘にそんな事を教えた。

「とりあえず、まだお前には関係の事だよ」と諭す。「でもママとパパ、これ出すんでしょ?」おい、アイツが仕組む陰謀?年端いかぬ娘に教え、何が目的だろう。

確かに私は提出予定。が、まだ教えるつもりは無かった。「そうだけど、とりあえずほら…マナはパパとママ、どっちが好き?」

「どっちもしゅきー!!」笑顔で万歳。あぁ本当に愛娘、マジ天使。だからこそ別居する事は耐え難く、世の地獄と言える。

親権を取られるのは目に見えてるし。「マナ、嫌…」顔を伏せる。よし「じゃあ、嫌いなやつはこうだ!」ビリッと破り捨てた。

「ほら、これでもう大丈夫」笑って見せた。顔を綻ばせ抱きしめる、手放すもんか。